2020年大学入試センター「生物」第5問(進化と系統・配点18点)問題・解答・解説
2020年11月4日(水) 予備校講師・船橋市議 朝倉幹晴
生物の進化と系統に関する次の文章(A・B)を読み、下の問い(問1~6)に答えよ。
A 特定の遺伝子のDNAの塩基配列を調べると、種間で違いがみられる。この違いは、共通の祖先から分岐した後に、種ごとに起きた突然変異とa遺伝子頻度の変化によるものである。生存や繁殖に有利な突然変異は集団中に広まるが、不利な突然変異は集団から取り除かれる。また、生存や繁殖に影響しない突然変異は、主にアによって集団中に広まる。このような過程を経てb突然変異が蓄積していく。種間でみられる塩基配列の違いの多くは、生存や繁殖にイ突然変異に由来している。また、種間の塩基配列の違いは、共通の祖先から分岐した後に長い時間が経過しているほどウという傾向がある。
問1 上の文章中のア~ウに入る語句の組合せとして最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。
問2 下線部aに関連して、ある動物の集団について、二つの対立遺伝子Wとwの遺伝子頻度を調べたところ、Wの遺伝子頻度は0.8であった。この動物の集団の多数の個体における各遺伝子型(WW、Ww、およびww)の個体数の割合を示したグラフとして最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。ただし、Wとw以外の対立遺伝子は存在せず、この動物の集団ではハーディ・ワインベルグの法則が成立しているものとする。
問3 下線部bに関連して、遺伝子に生じた塩基置換はアミノ酸配列の変化を起こすもの(以降、非同義置換とよぶ)と、起こさないもの(以降、同義置換とよぶ)に分類することができる。ある遺伝子X~Zについて、それぞれの塩基配列を様々な動物種の間で比較し、非同義置換の率と同義置換の率を計算した結果を、表1に示した。表1のデータに基づき、遺伝子X~Zについて、突然変異が起きた場合に個体の生存や繁殖に有害な作用が起きる確率の大小関係として最も適当なものを次ののうちから一つ選べ。
B 図1は、アカマツ、アジサイ、cギンゴケ、ゼニゴケ、ハス、およびワラビの系統樹である。また、横軸には年代が示してあり、系統樹と照らし合わせることで、それぞれの系統が分岐した年代を読み取ることができる。
問4 図1のエ~カに入る植物の組合せとして最も適当なものを、次のにうちから一つ選べ。
問5 ある地層から化石を採集したところ、維管束はもつが根や葉をもたない植物の化石が多数得られたが、根や葉をもつ植物の化石は見られなかった。この化石を含む地層が形成された年代として最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。
問6 下線部cに関連して、ギンゴケは干からびても、吸水して生命活動を再開できる。ギンゴケの吸水速度を調べるため、実験1を行った。実験1の結果に関する下の文章のキ・クに入る語と数値の組み合わせとして最も適当なものを、下ののうちから一つ選べ。
実験1 湿度100%に保った密閉容器を用意し、濡らしたろ紙を敷いた。干からびたギンゴケを容器に入れ、ギンゴケの重量の変化を45分ごとに記録したところ、表2の結果が得られた。
ギンゴケはキから水分を吸収し、生命活動を再開する。処理時間0分での含水率(全体の重量に占める水分の割合)が8%であり、含水率が60%を超えれば生命活動が回復するとすれば、最も早くは、処理時間ク分の時点で、すでに生命活動が回復していたことになる。
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