大学入試共通テスト「生物」第2回試行調査第1問(配点12点、筋肉運動のしくみ)問題・解答・解説
2020年12月16日 予備校講師・船橋市議 朝倉幹晴
はじめての共通テストまで約1か月となりました。試行調査の問題になれ、共通テストにのぞみましょう。
(テスト問題は白黒ですが、せっかくの画面上なので一部色を付けました。)
2018年11月に実施された第2回共通テスト試行調査の第1問(12点配点)です。
次の文章(A・B)を読み、下の問い(問1~3)に答えよ。(配点計12点)
A ある高校では、缶詰bのツナを利用し、骨格筋の観察実験を行った。少量のツナを洗剤液の中で細かくほぐした後、よく水洗いしながら更に細かくほぐした。これを染色液に浸してしばらくおいた後、よく水洗いしてスライドガラスに載せ、カバーガラスをかけて顕微鏡で観察した。接眼レンズを通して見えた像をスマートフォンで撮影したものが次の図1であり、図1の一部を拡大したものが下の図2である。
問1 図2中の直線ア~ウに相当する位置での切断面の様子を模式的に示したものが、次の図3のa~cのいずれかである。切断した位置(ア~ウ)と切断面(a~c)との組合せとして最も適当なものを、下ののうちから一つ選べ。
(4点、正答率47.0%)
問2 図2中のエ~カのうち、骨格筋が収縮たときに、その長さが変わる部分はどれか。
それらを過不足なく含むものを、次ののうちから一つ選べ。(5点、正答率36.3%(部分正答率17.9%))
エ オ カ エ、オ
B 筋収縮のエネルギーはすべてATPにより供給される。次の図4は、1500m走において、消費するエネルギーに対するATP供給法の割合の、時間経過に伴う変化を示したグラフである。通常、スタートダッシュ時には、まず筋肉中に存在するクレアチンリン酸という物質が、クレアチンとリン酸に分解され、そのときに合成されるATPがエネルギーとして利用される。その後、図4中のキやクで示すATP供給法により得たエネルギーが利用されるようになる。
問3 1500m走を行った高校生のアユムは、スタートダッシュを試みたが、すぐに疲れてしまい、その後はほぼ一定のベースで走って、6分ちょうどでゴールインした。次の記述は、図4中のキとクについて、アユムが走りながら考えたことである。これらのうち、下線を引いた部分に誤りを含むものを、のうちから一つ選べ。
(3点、正答率36.9%)
(スタートから10秒後)そろそろ二番目のATP供給法キも動き始めているころだ。キには酸素が必要ないはずだ。
(スタートから30秒後)息が苦しくなってきた。キはミトコンドリアで行われているはずだ。
(スタートから45秒後)足も重たくなってきた。そろそろ足の筋細胞にはキによって乳酸ができるはずだ。
(スタートから90秒後)そろそろ三番目のATP供給法クが中心となっている頃だ。クは酸化的リン酸化によりATPをつくるはずだ。
(スタートから120秒後)だいぶ走るペースがつかめてきた。クではキよりも同じ量の呼吸基質から多くのATPをつくれるはずだ。
(スタートから360秒後)やっとゴール地点だ。クではATPとともに水ができるはずだ。
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