共通テスト第2回試行調査「生物」第3問(発生)(配点14点)問題・解答・解説

2020年12月 予備校講師・船橋市議 朝倉幹晴

2018年11月に実施された第2回共通テスト試行調査の第3問(発生)の問題(14点配点)です。あと約1か月後のはじめての共通テストの問題傾向を把握してください。

なお、ハエとチョウの絵は、朝倉が設問の問題を模写し、眼を赤くして表現したものです(実際の入試問題は白黒)。

 

第3問 次の文章を読み、下の問い(問1~4)に答えよ。(配点14点)

 

a昆虫の発生過程では、体節が形成された後、ホメオティック(ホックス)遺伝子群からつくられる調節タンパク質のはたらきによって、各体節は胚の前後軸に沿った特有の形態を形成していく。このとき、次の図1のように、胸部の3番目の体節(第3体節)で発現するホメオティック(ホックス)遺伝子Xのはたらきを失ったショウジョウバエの変異体では、翅(はね)をつくらない第3体節が、翅をつくる第2体節と同様の形態になる。その結果、ハエであるのに、あたかもdチョウのように2対の翅をもつ個体になる。

問1 下線部aについて、昆虫が属する節足動物門の動物に共通する形質として最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。(配点3点、正答率50.2%)

独立栄養である。

原口が肛門になる。

外骨格をもつ。

脊索をもつ。

3対の肢(付属肢)をもつ。

 

問2 下線部に関連して、ショウジョウバエの前後軸の形成には、様々な遺伝子の発現を調節するタンパク質の濃度勾配が関わっている。例えば、卵の前端に蓄えられた調節タンパク質YのmRNAは、受精後に翻訳される。合成された調節タンパク質Yは、しばらくすると後方に向かって下がる濃度勾配をつくる。このとき、調節タンパク質Yの濃度勾配による前後軸の形成に不可欠な卵や胚の性質として最も適当なものを、次のうちから一つ選べ。(配点3点、正答率14.3%)

卵黄が中央に集まっている.

卵割が卵の表面だけで起こる。

受精後しばらくの間は細胞質分裂が起こらない。

前後に細長い形をしている。

別の調節タンパク質のmRNAが後端に偏って蓄えられている。

 

問3 下線部から考えられる。ショウジョウバエの遺伝子Xの胸部でのはたらきに関する合理的な推論として最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。
   (配点3点、正答率46.8%)

発現している体節の一つ前方の体節にはたらきかけて、発現している体節と同じものになることを促進している。

発現している体節の一つ前方の体節にはたらきかけて、発現している体節と同じものになることを、抑制している。

発現している体節ではたらいて、一つ前方の体節と同じものになることを、促進している。

発現している体節ではたらいて、一つ前方の体節と同じものになることを、抑制している。

 

問4 下線部に関連して、チョウが2対の翅をもっている理由を説明する次の仮説a~cのうち、ショウジョウバエでの遺伝子Xのはたらき方とは矛盾しない仮説はどれか。それを過不足なく含むものを、下ののうちから一つ選べ。(配点5点、正答率7.8%、部分正答率 3点ー21.3%、1点ー32.7%)

 

 a、チョウには遺伝子Xがない。

、チョウの遺伝子Xは、胸部の第3体節では発現しない。

、チョウの遺伝子Xは胸部の第3体節で発現するが、遺伝子Xからつくられる調節タンパク質が調節する遺伝子群の種類が、ショウジョウバエの場合と異なっている。

a  c a、b a、c b、c a、b、c

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