2021年大学入試共通テスト「生物」(第2日程)第4問「腎臓のはたらき」(配点15点)問題・解答・解説
2021年8月1日(日)18時完成・公開 予備校講師・船橋市議 朝倉幹晴
2021年大学入試共通テスト「生物」(第2日程*)第4問「腎臓」(配点計15点)の問題・解答・解説です。
*コロナ対策などのため、2021年の共通テストは1月16・17日(第1日程)、1月30・31日(第2日程)の2回、受験の機会を設けた。
本解説は、オリンピック期間中の休日を活用して作成・公開しました。
●東京オリンピック開会にあたって(オリンピック期間中に朝倉ができる社会貢献は入試問題解答解説作成)(2021年7月22日(開会式前日)、船橋市議・予備校講師、朝倉幹晴)
2022年以降の共通テスト「生物」を受験する人を含む大学入試「生物」選択者、物理選択で大学に入り、大学で生物を学ぶ必要がでてきた方、生物学に関心のある市民の方々に、以下解答解説をお届けします。ご活用ください。入試問題は白黒ですが、イメージ補強のため一部カラー化しました。
センター生物(第2日程)第4問(配点15点)
アリスさん、ルイジさん、メアリさんの三人は、お茶会で尿生成の仕組みについて話した。
ルイジ:アリス、そんなに甘いものばっかり食べていると糖尿病になるよ。
アリス:糖尿病はインスリンの分泌や需要に異常があって血液中のグルコース濃度が増える病気だから、食べ過ぎた糖がそのまま出てくるのではないはずよ。
ルイジ:ごめんごめん、まあそうだね。でお、(a)血液中のグルコース濃度が増えると、尿にグルコースが出てしまうのは、なぜなのかな。
メアリ:それは腎臓の働き方に関係しているのよ。健康なヒトは血中と原尿中のグルコース濃度はどちらも0.1%くらいだけど、最終的な尿中にはグルコースは出てこないよね。さあ、もう一杯お茶はいかが。
アリス:ありがとう。いただこうかしら。でも、お茶は大好きだけど、飲み過ぎるとトイレが近くなって困るのよね。
メアリ:お茶に含まれるカフェインに尿量を増やす作用があるからね。
ルイジ:私、尿量を増やす作用がある利尿薬Xを飲んでたことがあるよ。お医者さんが確か、(b)この薬は細尿管のループ(図1)の上皮細胞に働いて、能動輸送によるNaClの再吸収を阻害していると言っていたよ。カフェインも同じ作用かな。
アリス:(c)細尿管で起こるアミノ酸の再吸収も能動輸送よね。でも、カフェインは中枢にも効くというし、脳下垂体後葉に働いて、(d)パソプレシンの分泌量を変えているのでは。
メアリ:それは違うよ。カフェインは血管を拡張するので、腎臓への血流量の増大により腎小体でのろ過量が増えるのよ。
ルイジ:そうか、原尿量を増やしているんだね。
メアリ:バソプレシンは、集合管の上皮細胞の細胞膜におけるアクアポリンの量を変えることで、水の再吸収量を制御しているのね。
アリス:バソプレシンはどうやってアクアポリンの量を変えているのかしら。
メアリ:こんな実験があるよ。ラットの集合管上皮細胞におけるアクアポリンの分布を調べたら、図2のようにアに分布していたんだけど、この上皮細胞にバソプレシンを作用させると、図3のようにイに移動したそうよ。
ルイジ:アクアポリンはどうやって細胞内を移動するのかな。
メアリ:このアクアポリンの移動は、アクチンフィラメントを分解する薬剤では阻害されたけれど、微小管を分解する薬剤では何も効果なかったんだって。
アリス:つまり、バソプレシンは、モータータンパク質であるウに働きかけて、アクアポリンのアからイへの移動を促進し、集合管における水の透過性をエしているのね。
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