共通テスト第2回試行調査「生物」第2問A(植物の系統樹)問題・解答・解説(配点15点)

2020年12月 予備校講師・船橋市議 朝倉幹晴

2018年11月に実施された第2回共通テスト試行調査の第2問A(植物、植物ホルモン・生態系)の問題(15点配点)です。第2問B(配点15点)は同じく植物の問題ですが、内容的には異なるので別々に解答例を作ります。あと約1か月後のはじめての共通テストの問題傾向を把握してください。

●共通テスト「生物」第2回試行調査第2問B(植物生理・15点配点)問題・解答・正答率・解説

A 生物には、異なる種の交雑を妨げる様々なしくみがある。例えば、被子植物においては、ある種の花粉が別の種の柱頭に付いても、花粉管が胚珠への誘引されないことがある。(a)異種間での交雑を妨げるしくみを探るために、トレニア属の種A、B、Cとアゼナ属の種Dを使って、次の実験1~3を行った。なお、トレニア属とアゼナ属は近縁で、どちらもアゼナ科に含まれる。

実験1 種A~Dとアゼナ科の別の属の種Eについて、特定の遺伝子の塩基配列の情報を用いて分子系統樹を作成したところ、次の図1の結果が得られた。

実験2 種A~Dについて、発芽した花粉が付いた柱頭を切り取って培地上に置き、助細胞を除去した胚珠または除去していない胚珠のいずれかとともに、次の図2のように培養した。その後、伸長した花粉管のうち、胚珠に到達した花粉管の割合を調べたところ、次の図の結果が得られた。


実験3 種AまたはDの花粉を、同種または別種の柱頭に付けて発芽させた。発芽した花粉管を含む柱頭を切り取って培地上に置き、同種または別種の胚珠とともに、図2のように培養した。その後、伸長した花粉管のうち、胚珠に到達した花粉管の割合を調べたところ、次の図4の結果が得られた。

問1 助細胞が花粉管を誘引する性質について、実験1・2の結果から導かれる考察として最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。(配点3点、正答率66.9%)

トレニア属だけにみられる。

トレニア属の種A、B、Cとアゼナ属の種Dに共通してみられる。

種子植物全体に共通してみられる。

維管束植物全体に共通してみられる。

トレニア属とアゼナ属の共通の祖先が、種Eの祖先と分岐した後に、獲得した。

トレニア属の種A、B、Cでは、アゼナ属に近縁であるほど、誘引する能力が低い。

問2 実験3の結果から導かれる、種AとDの間にはたらく異種間での交雑を妨げるしくみに関する考察として最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。
(配点3点、正答率61.5%)
種Aの柱頭で種Dの花粉を発芽させた場合と、種Dの柱頭で種Aの花粉を発芽させた場合とでは、異なるしくみがはたらく。

種Aに比べて、種Dでは他種の花粉を拒絶するしくみが発達している。

胚珠と花粉管の相互作用は関与するが、柱頭と花粉管の相互作用は関与しない。
柱頭と花粉管の相互作用は関与するが、胚珠と花粉管の相互作用は関与しない。
胚珠と花粉管の相互作用、および柱頭と花粉管の相互作用の両方が関与する。

問3 下線部(a)に関連して、トレニア属の種F・Gが同じ場所に生育し、いずれも種子で繁殖しているとする。この場所で、これらの2種間の雑種個体が全く見られない場合に、そのしくみを調べる研究計画ととして適当でないものを、次ののうちから二つ選べ。ただす、解答の順序は問わない。
(配点5点、1つのみ正解で2点、正答率35.0%、部分正答率39.4%)

種F・Gのそれぞれについて、染色体数を顕微鏡下で調べる。
種F・Gのそれぞれについて、開花時期を調べる。
種F・Gのそれぞれについて、おしべとめしべの本数を調べる。
種F・Gのそれぞれについて、花粉を運ぶ動物の種類を調べる。
種F・Gのそれぞれについて、1個体が形成する種子の数を調べる。
種F・Gをかけ合わせて、種子の形成率を調べる。
種F・Gをかけ合わせて種子が形成された場合、種子の発芽率を調べる。

問4 次の図5は、トレニア属の種Aと植物H~Kの系統樹である。また、図6は、植物I~Kの写真である。系統樹中のア~ウに入る植物の組合せとして最も適当なものを、
下ののうちから一つ選べ。(配点4点、正答率62.8%)

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