共通テスト第2回試行調査「生物」第2問A(植物の系統樹)問題・解答・解説(配点15点)

【解説】

問1

 「実験結果から導かれる考察」では実験したことからわかる以上の答を選んではならない。
仮に「知識」としてその文章が正しいとわかった場合でも、実験で調べた以上のことを述べた選択肢を選ぶべきではない。
実験2では「種子植物全体」や「維管束植物」全体を調べてはいないので
は選ぶべきではない。
は(もしかしたら、正しい可能性はあるが)、Eについて実験してないので不明であり、選ぶべきではない。
はアゼナ属に近い順は、C→B→Aで、C・B・Aの到達割合が数%程度の微妙な差であることに加え、Cのほうが若干誘引能力が大きいため、記述が逆である。
はDのアゼナ属でも誘引されるので誤りである。
よって、A、B、C、D共通に助細胞があるときに誘引されているので、正解は

まとめると、は(実験結果から)内容が誤りとわかる。

は実験では調べていないため、「実験結果から導かれる考察」として選んではならない。
(たとえ、「知識」で正しいことがわかる場合でも、「実験結果から導かれる考察」としては選んではならない。)
が実験から導かれること(正解で)ある。  (配点3点、正答率66.9%)

問2

図4から、胚珠・柱頭・花粉管の種が全て一致した時(AAAかDDD)のみ、花粉管が胚珠に到達する。

実験3の記述にあるように「伸長した花粉管のうち、胚珠に到達した花粉管の割合」を調べたのが図4である。つまり図4は発芽・伸長した花粉管を調べているのであり、発芽していることは前提で、発芽の異なるしくみがあることを調べた実験ではない。誤り。

ADの組合せが1つでも違うと同じようにほぼ到達率は0%に近いので、DとAで他種拒絶のしくみは同じである。

頭と胚珠は離れているので、相互作用は「柱頭ー花粉管」「花粉管ー胚珠」間であり、それが両方一致すると花粉管の胚珠までへの伸長が完了するので、両方が関与する。よって、

でなく、正解は(配点3点、正答率61.5%)

問3

雑種ができないしくみとして、
共通祖先からの分岐が長く、染色体数や構造が異なって受精後にうまく発生ができないなども可能性がある。
また、開花のタイミングや花粉媒介生物がうまく一致しない可能性もある。
また受精できても初期発生がうまくいかず種子が形成できなかったり、発芽ができない可能性がある。

おしべやめしべの本数の違いは仮にあったとしても受精にとって直接の阻害要因とならず雑種ができない理由とならない。
よっては適当でない。

また1個体が形成する種子の数の差があっても、少数の種子でも発芽ができれば雑種はできるはずである。ま1個体あたりの種子数が少なくても、た個体数が多ければ、繁殖に問題は生じない。のように種子が形成できるか、発芽できるかは重要であるが、1個体あたり種子の数は重要でない。も適当ではない。
(配点5点、1つのみ正解で2点、正答率35.0%、部分正答率39.4%)

問4

子房を獲得したので、ウは被子植物。種子を獲得したが、子房を獲得していないのでイは裸子植物。維管束を獲得したが、種子は獲得していないのでアはシダ植物。そして維管束も獲得していないH(ゼニゴケ)はコケ植物。
Iはマツかさでマツなので裸子植物(イ)。Jはイネなので被子植物(ウ)、Kはつくし(スギナの胞子茎)なのでシダ植物(ア)。よって

(配点4点、正答率62.8%)

<基礎確認 陸上植物の分類>(中学レベル)

中学では、陸上植物以外を「藻類」とまとめており、これは高校以降は正確ではないが、陸上植物の分類の整理としてはまず中学レベルの認識でおさえたほうがいいので以下で子確認ください。本設問は、この中学レベルの知識で解けます。

<クロロフィルによる植物の分類>(高校以降)

植物の名称(和名)はカタカナで書くのが原則ですが、漢字の意味がわかったほうがおさえやすいので、あえて漢字で表記しています。