入試に出る地方自治1(市長選)~「2021年大学入試共通テスト「倫理、政治・経済」第2日程第5問「市長選に関する生徒2人の会話」(配点19点)問題・解答・解説~
2021年6月27日 予備校講師・船橋市議 朝倉幹晴
共通テスト初年度の「倫理、政治・経済」第2日程(*)で出題された第5問(配点19点)、身近な市長選をテーマにした良問です。船橋市議会でも議論している具体的な問題も問われています。予備校講師として、市議として、高校生に出題された内容を通じて、高校生・受験生だけでなく、大人である市民も考えていくきっかけになれば幸いと思い、解説を作りました。2ページ目の解説には、国の関連HPリンクや船橋市での具体的な施策のリンクも貼ってあります。ぜひ、お読みください。(なお問5の保険制度の種別に関する表は出題図では白黒ですが、画面上なのでカラーにしました。)
*コロナ対策などのため、2021年の共通テストは1月16・17日(第1日程)、1月30・31日(第2日程)の2回、受験の機会を設けた。
●入試に出る地方自治2~2021年大学入試共通テスト「倫理、政治経済」第2日程第7問(配点12点)問題・解答・解説
●入試に出る地方自治3~2019年大学入試センター「倫理、政治・経済」「政治・経済」地方自治問題・解答・解説(船橋市を例にした具体的解説
X:だれに投票したらいいか難しいよ。
問2 下線部bに関連して、日本の行政活動をめぐる法制度に関する次の記述a~cのうち、正しいものはどれか。当てはまる記述をすべて選び、その組合せとして最も適当なものを、下の~のうちから一つ選べ。(3点)
B 生徒Xと生徒Yは、とくに候補者と候補者Zの演説に興味をもち、それぞれの主張についてさらに調べた。これに関して、次の問い(問3~6)に答えよ。
問4 生徒Xは、候補者Wの行財政改革に関する公約に関心をもった。Wは、次の政策a~cを公約として掲げている。これらのうち、現在の日本の法制度上、実施できる政策はどれか。当てはまるものをすべて選び、その組合せとして最も適当なものを、下の~のうちから一つ選べ。(3点)
生活保護費の支出を抑制するため、市独自の認定基準を条例で定めることで、国の基準より認定の範囲を限定する。
登山道の整備に必要な財源を確保するため、市の独自課税として登山客を対象とする入山税を創設する。
公共施設の管理費用の削減およびサービス向上を図るため、市が設置する市民会館やスポーツ施設などの運営を民間に委託する。
問5 生徒Yは、国民健康保険制度に対する市のかかわり方に関する候補者Zの主張を聴いて興味をもち、日本の公的医療保険制度の仕組みを調べることにした。次ページの会話は、同制度に関する次の図をみたYとその母とによるものである。この会話文を読んで、空欄アに当てはまる方法として適当なものを次ページの記述a~dのうちから二つ選び、その組合せとして最も適当なものを、次ページの~のうちから一つ選べ。(4点)
(注)被用者向けの各医療保険制度の加入者には、被保険者のほか、その被扶養者(被保険者に生計を維持される家族)が含まれる。また、65歳以上75歳未満で一定の障害状態にあるとの認定を受けた者は、後期高齢者医療制度の被保険者となる。なお、データは、各年齢階級の人口から生活保護の被保護者を除いたものを総数とした数値を前提として作成されている。
(出所)厚生労働省Webページにより作成。
Y:お母さん、これみてよ。この図って何を表しているだろう?
母:この図は、年齢階級別にみてどの医療保険制度の加入者一人当たりの医療費は、被用者向けの各医療保険制度の場合より増えてしまうよね。60歳代以上において、国民健康保険制度の加入者が被用者向けの各医療保険制度の加入者よりも相対的に多い状態を緩和する方法としては、たとえば、アなどが考えられるかな。
Y:各制度の対象者が違うからこうなるのかな。でも、年齢の高い加入者が相対的に多いということだと、国民健康保険制度の加入者一人当たりの医療費は、被用者向けの各医療保険制度の場合より増えてしまうよね。60歳代以上において、国民健康保険制度の加入者が被用者向けの各医療保険制度の加入者よりも相対的に多い状態を緩和する方法としては、たとえあ、アなどが考えられるかな。
母:制度上はそうなりそうね。
高齢者が医療サービスを利用したときの自己負担割合を引き下げること
問6 生徒Xは、候補者Zが地域雇用の重要性について主張するのを聴き、労働者保護に関する法制度に興味をもった。日本の民間企業の労働者に関する現在の法制度について記述として誤っているものを、次の~のうちから一つ選べ。(3点)
労働者災害補償保険法上の労働者には、短時間労働者が含まれる。
使用者は、正当な争議行為により損害を受けたことを理由として、労働組合に対し損害賠償を請求することができない。
事業主には、労働者の募集および採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与える義務がある。
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