2021年大学入試共通テスト「生物」(第2日程)第6問「聴覚」(配点12点)問題・解答・解説

2021年8月3日(火)完成・公開 予備校講師・船橋市議 朝倉幹晴

2021年大学入試共通テスト「生物」(第2日程*)第5問「分子進化」(配点計12点)の問題・解答・解説です。

*コロナ対策などのため、2021年の共通テストは1月16・17日(第1日程)、1月30・31日(第2日程)の2回、受験の機会を設けた。

本解説は、オリンピック期間中の平日夜を活用して作成・公開しました。
●東京オリンピック開会にあたって(オリンピック期間中に朝倉ができる社会貢献は入試問題解答解説作成)(2021年7月22日(開会式前日)、船橋市議・予備校講師、朝倉幹晴)

 

2022年以降の共通テスト「生物」を受験する人を含む大学入試「生物」選択者、物理選択で大学に入り、大学で生物を学ぶ必要がでてきた方、生物学に関心のある市民の方々に、以下解答解説をお届けします。ご活用ください。入試問題は白黒ですが、イメージ補強のため一部カラー化しました。(また図は朝倉が模写しました。100%正確ではありませんが、問題を解くのに問題がないレベルに模写しています。)

 

センター生物(第2日程)第6問(配点計12点)

次の文章を読み、下の問い(問1~3)に答えよ。
耳が音刺激を受容し、その信号が脳に伝わると聴覚が生じる。ヒトは、音の強弱や(a)音の高低などを識別している。夜行性の鳥であるメンフクロウは、夜間でも離れた距離にいる餌となるネズミのいる方向を、ネズミが発するかすかな音を頼りに特定できる。これはメンフクロウの脳に、(b)左右の耳に音が到達するわずかな時間差を検出する特定の神経回路があるためである。
問1、 下線部(a)について、ヒトが音の高低を識別するための仕組みとして最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。(3点)
音波が鼓膜を振動させる際の、鼓膜の振幅の大きさの違いを指標にしている。
うずまき管内のリンパ球の振動が、うずまき管内のどの位置の基底膜を振動させるかを指標にしている。
内耳の前庭に伝わった振動によって共鳴する耳石(平衡石)の大きさの違いを指標にしている。
内耳の半規管のうち、どの方向のリンパ液が振動するかを指標にしている。
問2、 図1は、メンフクロウの頭部と音源との関係を上から見た模式図である。音源がメンフクロウの前方正面からも右側30°の角度になるとき、左右の耳に音波が到達する時間差(ミリ秒)として最も適当な数値を、下ののうちから一つ選べ。ただし、左右両耳間の距離は5cmであり、音速は340m/秒とする。なお、音源は頭部とほぼ同じ高さにあり、メンフクロウから十分に遠いため、音波は両耳に同じ角度で届く。(4点)
問3、 下線部(b)について、図2は、メンフクロウの脳にあるわずかな時間差を検出するための神経回路を模式的に示したものである。図中のa~gは等間隔(0.1mm)に存在するニューロンで、個々のニューロンは左右の耳からの信号が同時に到達したときにのみ興奮する。左右それぞれの耳からの信号は、図中に示す軸索を一定の速さ(4.0mm/ミリ秒)で伝達し、ニューロンa~gのいずれかにほぼ同時に到達する。
例えば、ニューロンaとニューロンgそれぞれの近くの軸索上にある点Xと点Yに、左右両耳からの信号が同時に到達したとき、その0.075ミリ秒後には、信号は点Xと点Yからそれぞれ0.3mm離れたニューロンdに同時に到達し、ニューロンdだけが興奮する。
この神経回路に関する次の文章中のア・イに入るニューロンの組合せとして最も適当なものを、下ののうちから一つ選べ。(5点)

左耳からの信号が点Xに到達した0.050ミリ秒後に、右耳からの信号が点Yに到達したとすると、その時点で左耳からの信号は、ニューロンに到達している。その後、左右の耳からの信号は軸索を更に伝導し、結果としてニューロンが興奮する。

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