2021年大学入試共通テスト「生物基礎」(第2日程)第1問「細胞(サンゴの細胞と褐虫藻)・遺伝子」(配点18点)問題・解答・解説

2021年8月8日(日)午前1時完成・公開 予備校講師・船橋市議 朝倉幹晴

2021年大学入試共通テスト「生物基礎」(第2日程*)第1問A「細胞(サンゴの細胞と褐虫藻)・遺伝子(配点計18点)の問題・解答・解説です。

*コロナ対策などのため、2021年の共通テストは1月16・17日(第1日程)、1月30・31日(第2日程)の2回、受験の機会を設けた。

本解説は、オリンピック期間中の休日を活用して作成・公開しました。
●東京オリンピック開会にあたって(オリンピック期間中に朝倉ができる社会貢献は入試問題解答解説作成)(2021年7月22日(開会式前日)、船橋市議・予備校講師、朝倉幹晴)

 

2022年以降の共通テスト「生物」を受験する人を含む大学入試「生物」選択者、物理選択で大学に入り、大学で生物を学ぶ必要がでてきた方、生物学に関心のある市民の方々に、以下解答解説をお届けします。ご活用ください。入試問題は白黒ですが、イメージ補強のため一部カラー化しました。

2021年「生物基礎」(第2日程)第1問(配点18点)

次の文章(A・B)を読み、下の問い(問1~6)に答えよ。

Aミドリさんとアキラさんは、サンゴの白化現象について資料を見ながら議論した。

ミドリ:サンゴの白化現象が起こるのは、サンゴの個体であるポリプ(図1)の細胞内に共生している褐虫藻が、高温ストレスなどの原因でサンゴの細胞からいなくなるからなんだって。サンゴの色は、褐虫藻に由来しているんだね。
アキラ:えっ、褐虫藻は、単細胞生物だよね。
ミドリ:そのとおり。褐虫藻が共生しているサンゴの胃壁細胞の図(図2)を見つけたんだけど、褐虫藻には核も葉緑体もあるみたいだし、そもそも(a)宿主のサンゴの細胞と大きさがあまり変わらないようだよ。
アキラ:つまり、褐虫藻が共生しているサンゴの細胞は、ということだね。
ミドリ:そのとおりだね。ところで、褐虫藻が細胞からいなくなるとサンゴが死んでしまうのは、なぜなのかな。
アキラ:あっ、褐虫藻が共生したサンゴは、餌だけではなく、光合成でできた有機物も利用しているんだって。
ミドリ:へえ。つまり、サンゴはということでよいのかな。
アキラ:そういうことだね。シャコガイやゾウリムシのなかまにも、藻類を共生させて、光合成でできた有機物を利用しているものがいるみたいだよ。
ミドリ:へえ、そうなんだ。生物って本当に多様なんだね。
問1 下線部(a)に関連して、褐虫藻とサンゴの細胞の大きさは、図2のように大きな違いはない。これらの細胞と同じくらいの大きさのものとして最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。(3点)
インフルエンザウイルス 酵母(酵母菌) カエルの卵
大腸菌 T2ファージ ヒトの座骨神経
問2 会話中のに入る記述として最も適当なものを、のうちから一つ選べ。(3点)
真核細胞を細胞内に取り込んだ植物細胞
原核細胞を細胞内に取り込んだ植物細胞
真核細胞を細胞内に取り込んだ動物細胞
原核細胞を細胞内に取り込んだ動物細胞
葉緑体を取り込んで、植物細胞に進化しつつある動物細胞
問3 会話中のに入る文として最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。(3点)
同化をする能力を全くもたないので、共生している褐虫藻が同化した有機物のみを利用している
異化をする能力を全くもたないので、共生している褐虫藻が同化した有機物のみを利用している
食物からも有機物を得ているが、これだけでは不足しており、共生している褐虫藻が同化した有機物も併せて利用している
食物からも有機物を得ているが、これだけでは不足しており、共生している褐虫藻が異化した有機物も併せて利用している
褐虫藻から取り込んだ葉緑体を用いて同化を行い、有機物を得て利用している。

褐虫藻から取り込んだ葉緑体を用いて異化を行い、有機物を得て利用している。

B、(b)DNAは遺伝子の本体であり、真核生物では染色体を構成している。近年、DNAや遺伝子に関わる学問や技術は飛躍的に進歩し、様々な生物種で(c)ゲノムが解読された。しかしながら、ゲノムの解読は、その生物の成り立ちを完全に解明したことを意味しない。例えば、(d)多細胞生物の個体を構成する細胞には様々な種類があり、これらは異なる性質や働きをもつ

問4 下線部(b)に関連して、DNAや染色体の構造に関する記述として最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。
DNAの中で、隣接するヌクレオチドどうしは、糖と糖の間で結合している。
DNAの中で、隣接するヌクレオチドどうしは、リン酸とリン酸の間で結合している。
二重らせん構造を形成しているDNAでは、二本のヌクレオチド鎖の塩基配列は互いに同じである。
染色体は、間期には糸状に伸びて核全体に分散しているが、体細胞分裂の分裂期には凝縮される。
体細胞分裂の間期では、凝縮した染色体が複製される。
問5 下線部(c)について、次ののうち、ゲノムに含まれる情報を過不足なく含むものを、下ののうちから一つ選べ。
遺伝子の領域の全ての情報
遺伝子の領域の一部の情報
遺伝子以外の領域の全ての情報
遺伝子以外の領域の一部の情報
問6 下線部(d)について、このことの一般的な理由として最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。
DNAの量が異なる。
働いている遺伝子の種類が異なる。
ゲノムが大きく異なる。
細胞分裂時に複製される染色体が異なる。
ミトコンドリアには、核とは異なるDNAがある。
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