2022年大学入試共通テスト「生物」第4問「動物行動」問題、解答、解説(配点12点)


【解説】

問1

選択肢の文章を表の中の数値で確認すると以下のようになる。

 

問2

通路Cのみの0~30分と、通路D開設後の30分~40分の道標フェロモンの付けられ方のイメージ図は以下のようになる。


実験1ので得られた結果は、試行開始後、単位距離当たりのアリの通行量が、通路ア(A)でおおく、その後も個々のアリが道標フェロモン濃度のより高い通路を通行し続けたことによるものと考えられる。実験2のほとんどの試行では、通路Dが新たに追加された後、少数のアリが通路Dを通行し、餌場までたどり着くと道標フェロモンを通路Dに付けた。しかし、通路Dでは通路Cよりも道標フェロモンの濃度が相対的にイ(低い)状態が続くので、多くのアリが通路Cを通行し続け、通路Cの道標フェロモンは濃度が相対的にウ(高い)状態が続いたと考えられる。いずれの実験結果もエ(正)のフィードバックで説明できる。よって
★「正のフィードバック」とは、既に行われている行動や状態が更に強化されることを示し、この場合、通路Cの道標フェロモンが高い状態が、通行の多さが維持されることで、更に強化されているので正のフィードバックである。「増えた場合に更に増やす」ほか、「減った場合に更に減らす」も現状の状態が更に強化されるので「正のフィードバック」である。
「負のフィードバック」とは、主に、間脳視床下部や脳下垂体を最高中枢とするホルモン分泌量調節などでみられるもので、既におきているホルモン分泌量を中枢が感知し、その状態と逆の状態にさせることで、「増えすぎたら減らし、減りすぎたら増やす」ように現状と逆向きになるようにフィードバックするしくみ。
★「増える」ことを正、「減る」ことを負といっているのではない。「増→さらに増」「減→さらに減」のように現状の状態が更に強化されることが「正のフィードバック」、「減→増」「増→減」のように、現状の状態と逆に向かわせるのが「負のフィードバック」なので注意してほしい。

問3
フェロモンは同種の他個体に情報を与える物質であるので、異種間の物質はフェロモンではない。よって、誤りは(4点)

カイコガのメスが、オスを誘引する。フェロモン
ミツバチのコロニーにおいて、女王バチが、働きバチの性成熟を抑制する。階級維持フェロモン(女王物質)
チャバネゴキブリが、ほかの個体を誘引して群れを形成する。集合フェロモン
同じ巣のアリどうしが、同じコロニーの仲間であることを伝える。巣仲間識別フェロモン
巣への侵入者を発見したミツバチが、コロニーの仲間に警戒を促す。警報
アブラムシがアリを誘引する。異種間なのでフェロモンではない。