2020年大学入試センター「生物」第7問(進化と系統)(選択・10点)問題・解答・解説
生物が誕生して以来、生物と地球環境は深く関わり合いながら移り変わってきた。原始大気中には酸素がほとんど存在していなかったと考えられるが、酸素発生型のア(光合成)を行う生物が出現したのちに環境中の酸素が増加した。酸素が大気中に放出されるようになると、大気中の酸素濃度の増加とともに、生物に有害な紫外線を吸収するイ(オゾン層)の濃度が増加してイ層が形成された。
最初の生物は海中で生じ、その後の生物の多様化もしばらくは海中で進んだと考えられている。約6億年前の先カンブリア時代末期の化石にはウ(エディアカラ生物群)とよばれる軟らかいからだをもった多細胞生物が認められており、a古生代カンブリア紀には、節足動物など現生のほとんどの動物門を含む、多様な無脊椎動物が出現した。多様化した生物は、イ層の形成後にb陸上に進出したと考えられている。
「先カンブリア時代末期」に出現した軟らかい体の生物群はエディアカラ生物群、「古生代(カンブリア紀)」に出現した硬いからだの動物群はバージェス動物群である。よって、(3点)。
問2解説
原口が将来の口となる旧口動物は、節足相物・線形動物など脱皮動物と、輪形動物・軟体動物・環形動物・扁(へん)形動物など冠輪動物である。一方、脊椎動物、原索動物(合わせて脊索動物と総称)、棘皮動物は原口が将来の肛門になる新口動物である。よって(2点)。
体節の有無という視点で見ると、節足動物と環形動物は体節があるが、軟体動物はない。よって(2点)。
問3解説
植物はクロロフィルの持ち方で3つの系列に分類できる(下図の横列)。まずはそれをしっかりおさえよう。
この分類が特定できると、設問文は以下のように解くことができる。
シロツメクサ、アナアオサ、アラメ、マクサの全てでクロロフィルaとカロチンが認められたが、クロロフィルbとエ(ネオキサンチン)はアナアオサとオ(シロツメクサ)のみで、クロロフィルcはアラメのみで認められた。これらの色素組成の類似と相違に基づくと、緑藻、褐藻、および紅藻の中では、カ(緑藻)が陸上植物(クロロフィルa・b保持)に系統的に最も近縁であると考えられる。よって(4点)。