2021年大学入試共通テスト「生物」(第2日程)第1問A「抗体の構造・同義置換と非同義置換」(配点13点)問題・解答・解説

2021年7月27日(火)22時完成・発信 予備校講師・船橋市議 朝倉幹晴

2021年大学入試共通テスト「生物」(第2日程*)第1問A(配点計13点)の問題・解答・解説です。なお第1問Bは同じ第3問ですがテーマが別(植物の交雑と遺伝子)であるため別に解答・解説を作ります。

*コロナ対策などのため、2021年の共通テストは1月16・17日(第1日程)、1月30・31日(第2日程)の2回、受験の機会を設けた。

目次

本解説は、オリンピック期間中の平日夜を活用して作成・公開しました。
●東京オリンピック開会にあたって(オリンピック期間中に朝倉ができる社会貢献は入試問題解答解説作成)(2021年7月22日(開会式前日)、船橋市議・予備校講師、朝倉幹晴)

 

2022年以降の共通テスト「生物」を受験する人を含む大学入試「生物」選択者、物理選択で大学に入り、大学で生物を学ぶ必要がでてきた方、生物学に関心のある市民の方々に、以下解答解説をお届けします。ご活用ください。入試問題は白黒ですが、イメージ補強のため一部カラー化しました。

2021年大学入試共通テスト「生物」(第2日程)第1問A(配点13点、Bの12点と合わせ第1問全体では25点)

A. (a)タンパク質は、DNAの塩基配列に基づきアミノ酸が多数つながった分子であり、生体における様々な機能や構造に関わる。b)DNAの塩基配列に置換が起こるとアミノ酸の配列が変わることがあり、タンパク質の構造や働きに影響することがある。例えば、(c)免疫グロブリンというタンパク質は、図1のような構造をもっており、(d)可変部のアミノ酸配列が変化して多様な立体構造をもつことで、様々な抗原に対応した抗体として働くことができる。
問1 下線部(a)に関連して、タンパク質の構造に関する説明として最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。(3点)
タンパク質の立体構造は、酵素が特定の物質だけに作用する基質特異性を決める。
ペプチド結合した多数のアミノ酸を並び方をタンパク質の二次構造という。
タンパク質の部分的な立体構造であるαヘリックスやβシートは、S―S結合(ジスルフィド結合)によってつくられる。
タンパク質の三次構造は、複数のポリペプチドが立体的に組み合わさることでつくられる。
問2 下線部(b)に関連して、DNAの塩基配列の変化には、コドンの指定するアミノ酸が別のアミノ酸に置き換わる非同義置換と、置き換わらない同義置換とがある。同義置換と非同義置換の進化的な特徴に関する説明として誤っているものを、次ののうちから一つ選べ。(3点)
同義置換はタンパク質の機能に影響しないため、多くは進化的に中立である。
非同義置換には、タンパク質の機能に影響しない進化的に中立なものもある。
生存や繁殖に有利な表現型を生む非同義置換は、自然選択によって集団に広がりやすい。
生存や繁殖に不利な表現型を生む非同義置換には、自然選択が働かない。
問3 下線部(c)に関連して、パパインと呼ばれるタンパク質分解酵素(ペプチド結合を切断する酵素)で処理すると、免疫グロブリンは三つの断片に分解されることが知られている。このうちの二つの断片は、互いに全く同じである。この二つの断片は、構造が安定していて、分解前の抗体と同じように抗原とよく結合する。残りの断片は、抗原とは全く結合しない。このとき、図1の点線e~hのうち、パパインによって切断されると考えられる免疫グロブリンの箇所はどれか。それらを過不足なく含むものを、次ののうちから一つ選べ。(3点)
問4 下線部(d)に関連して、可変部は抗原と結合する領域Xと抗原と結合しない領域Yとに区別され、ヒトやマウスは領域Xの遺伝子(以下、遺伝子X)と領域Yの遺伝子(以下、遺伝子Y)をそれぞれ複数もつ。マウスのある個体がもつ複数の遺伝子Xと遺伝子Yそれぞれについて総当たりで塩基配列を比較し、同義置換の割合(同義置換となる塩基配列の違いの割合)と非同義置換の割合(非同義置換となる塩基配列の違いの割合)とを求めたところ、図2の結果が得られた。この結果から導かれる考察として最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。(4点)
可変部では、領域の違いにもかかわらず、アミノ酸配列の変化の割合は同じである。
抗原と結合する領域Xでは、進化的に中立であると仮定した場合と比べ、アミノ酸配列に多くの変化がみられる。
可変部の抗原と結合しない領域Yにおけるアミノ酸配列の変化は、進化的に中立である。
定常部におけるアミノ酸配列の変化は進化的に中立である。
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