入試に出る地方自治5~2022年大学入試共通テスト「倫理、政治・経済」第7問(配点12点)問題・解答・解説

2022年6月28日 船橋市議(無党派)、予備校講師

大学入試センター試験、共通テスト「倫理、政治・経済」ならびに「現代社会」で地方自治に関する出題が増加しています。住民に一番近い市区町村や都道府県のしくみについての理解が求められています。
2022年共通テスト「倫理、政治・経済」第7問(配点12点)問題・解答・解説を作りましたので、入試対策、学習にお役立てください。本設問を通じて、船橋市ほか、皆さんのお住いの市町村の地方自治に関心を持っていただけると幸いです。

参考 関連の過去出題の解答解説です。
2022年の他の問題です。
● 入試に出る地方自治4~2022年共通テスト「倫理、政治・経済」第5問(配点19点)問題・解答・解説~
2021年以前の問題です。
●入試に出る地方自治1(市長選)~2021年大学入試共通テスト「倫理、政治・経済」第2日程第5問「市長選に関する生徒2人の会話」(配点19点)問題・解答・解説~
●入試に出る地方自治2~2021年大学入試共通テスト「倫理、政治経済」第2日程第7問(配点12点)問題・解答・解説
●入試に出る地方自治3~2019年大学入試センター「倫理、政治・経済」「政治・経済」地方自治問題・解答・解説(船橋市を例にした具体的解説)

 

目次

2022年大学入試共通テスト「倫理、政治・経済」第7問(配点12点)

 

生徒Xと生徒Yは、「住民生活の向上を目的とする国や地方自治体の政策に、住民はどのようにかかわることができるのか」という課題を設定して調査を行い、L市主催の報告会で発表することにした。次の図は、そのための調査発表計画を示したものである。これに関連して、後の問い(問1~4)に答えよ。

問1 生徒Xと生徒Yは下線部aについて調べた。次のA~Dは、第二次世界大戦後の日本の地方自治をめぐって起きた出来事に関する記述である。これらの出来事を古い順に並べたとき、3番目にくるものとして正しいものを、のうちから一つ選べ。(3点)

A 地方分権改革が進む中で行財政の効率化などを図るために市町村合併が推進され、市町村の数が減少し、初めて1,700台になった。
B 公害が深刻化し住民運動が活発になったことなどを背景として、東京都をはじめとした都市部を中心に日本社会党や日本共産党などの支援を受けた候補者が首長に当選し、革新自治体が誕生した。
C 地方自治の本旨に基づき地方自治体の組織や運営に関する事項を定めるために地方自治法が制定され、住民が知事を選挙で直接選出できることが定められた。
D 大都市地域特別区設置法に基づいて、政令指定都市である大阪市を廃止して新たに特別区を設置することの賛否を問う住民投票が複数回実施された。

問2 生徒Xと生徒Yは、下線部bをみながら会話している。次の会話文中の空欄ア~ウに当てはまる語句の組合せとして最も適当なものを、後ののうちから一つ選べ。(3点)

 

X:この時の地方分権改革で、国と地方自治体の関係をの関係としたんだね。
Y:の関係にするため、機関委任事務制度の廃止が行われたんだよね。たとえば、都市計画の決定は、となれたんだよね。
X:の関係だとして、地方自治体に対する国の関与をめぐって、国と地方自治体の考え方が対立することはないのかな。
Y:実際あるんだよ。新聞で読んだけど、地方自治体上の国の関与について不服があるとき、地方自治体はに審査の申出ができるよ。申出があったらが審査し、国の機関に勧告することもあるんだって。ふるさと納税制度をめぐる対立でも利用されたよ。

ア対等・協力 イ法廷受託事務 ウ国地方係争処理委員会
ア対等・協力 イ法廷受託事務 ウ地方裁判所
ア対等・協力 イ自治事務 ウ国地方係争処理委員会
ア対等・協力 イ自治事務 ウ地方裁判所
ア上下・主従 イ法廷受託事務 ウ国地方係争処理委員会
ア上下・主従 イ法廷受託事務 ウ地方裁判所
ア上下・主従 イ自治事務 ウ国地方係争処理委員会
ア上下・主従 イ自治事務 ウ地方裁判所

問3 下線部cについて、生徒Xと生徒Yは報告会を主催したL市とその近隣の地方自治体について調べた。発表内容をまとめるために、生徒たちは歳入区分のうち地方税と地方交付税と国庫支出金に着目して、次の文章と後の表を作成した。なお、文章は表を読みとって作成したもんである。表中の地方自治体のうちL市はどれか。正しいものを、表中ののうちから一つ選べ。(3点)

 

L市の依存財源の構成比は、表中の他の地方自治体と比べて最も低いわけではありません。ただし、「国による地方自治体の財源保障を重視する考え方」に立った場合は、依存財源が多いこと自体が問題になるとは限りません。たとえばL市では、依存財源のうち一般財源よりも特定財源の構成比が高くなっています。この特定財源によってナショナル・ミニマムが達成されることもあるため、必要なものとも考えられます。
しかし、「地方自治を重視する考え方」に立った場合、依存財源の構成比が高くなり地方自治体の選択の自由が失われることは問題だと考えられます。L市の場合は、自主財源の構成比は50パーセント以上となっています。

問4 下線部dに関連して、次の文章は、L市内の民間企業の取組みについて、生徒Xと生徒Yがまとめた発表用原稿の一部である。文章中の空欄アにはaかb、空欄イにはcかdのいずれかが当てはまる。次の文章中の空欄に当てはまるものの組合せとして最も適当なものを、後ののうちから一つ選べ。(3点)

 

一つ目はA社とB大学についての事例です。L市に本社があるベンチャー企業のA社は、それまでの地元の大学からの人材獲得を課題としていました。そのたえA社は、市内のB大学と連携してインターンシップ(就業体験)を提供するようになりました。このインターンシップに参加したB大学の卒業生は、他の企業への就職も考えたものの、仕事の内容を事前に把握していたA社にやりがいを見いだして、A社への就職を決めたそうです。この事例はの一例です。
二つ目は事業者Cについての事例です。事業者Cは、市内の物流拠点に併設された保育施設や障がい者就労施設を運営しています。その物流拠点では、障がいのある人たちが働きやすい職場環境の整備が進み、障がいのない人たちと一緒に働いているそうです。この事例はの一例です。

aスケールメリット(規模の利益)を投球する取組み
b雇用のミスマッチを防ぐ取組み
cトレーサビリティを明確にする取組み
dノーマライゼーションの考え方を実行に移す取組み

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